
幸福度を向上させるサービスマネジメント(第二回)
皆さん、お元気ですか!?
SOMPOシステムズのITサービスマネジメントシステムの構築・運営の担当者です。『幸福度を向上させるサービスマネジメント』ブログ、2回目の投稿!となります。今回もサービスマネジメントの国際標準規格の魅力について、皆さんとご一緒に共有できたら“しあわせ”です。どうぞ、お付き合いください。
さて、サービスマネジメントとは、私たちIT部門が提供するITサービスの品質やコストを適正に管理しながら、顧客のビジネスに価値をもたらすものです。現代のビジネス環境においてITは欠かせないものであり、私たちIT部門には生産性の向上や効率性を高めるだけでなく、「ビジネスへの貢献」が強く求められています。サービスマネジメントとは、このような「ビジネスへの貢献」を実現するためのもので、当社SOMPOシステムズでも、このサービスマネジメントの国際標準規格を導入・構築し、日々運営しています。その成果として、損保ビジネスを支え、契約者皆さまの安心・安全に資することで、社会に貢献しながら、私たちも含めた関係者の幸福度を向上させていきます。
今回は、そのサービスマネジメント活動による企業価値やエンゲージメントの大切さについて、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
1.仕事の目的や向き合い方によって使命感が変化する

仕事に対する使命感は、とても大切なものだと思います。ただ、その使命感は仕事の目的やその人の向き合い方によって、大きく変化が生じ、その変化は達成感の差につながることを前回にお伝えしています。
人はそれぞれの考え方で、幸福度の強弱や感度の中身の濃淡・粒度に明確な差が現れます。人には寿命があり貴重な人生を送るのですから、仕事に費やす貴重な時間を “やらされ感”や“義務感”ではなく、自らの意志で行動し、相手が喜んでいただける成果を上げて、それによって企業や組織の一員として存在が認められ、社会と共生してる!って感じられたら、とても幸せですよね。これは自分の仕事が人々の人生や未来につながっているという幸福感に包まれる瞬間です。どんな仕事であれ、社会に必要とされていて、その社会と共生の上に成り立っていることを忘れてはなりません。
そのためには、個人の働きかけだけではなく、企業や組織と正しく向き合いながら、双方向のより良い関係性であるエンゲージメントを高める必要があります。
2.なぜエンゲージメントなのか?企業価値とCS/ESの関係は?
企業価値という言葉があります。一般的に、この企業価値が高いと市場からも高く評価され、さらなる投資意欲を生み出し、企業の成長と社会の活性化につながります。この価値は、「収益力」や「ROI=投資収益率」など、稼ぐ力を好転させ、企業の財務状況を改善することに貢献するものです。これに加え、今の時代はエンゲージメントも大切な企業価値の要素になっています。
ここでエンゲージメントと聞いて、今までの従業員満足度との違いは何だろうと考える方もいらっしゃると思います。以前は顧客満足度と従業員満足度を企業や組織の力量を表す尺度として利用している企業が多かったと思います。私もサービスマネジメントの国際標準規格であるISO/IEC20000-1に出会う以前は、この二つの満足度を巧みに組み合わせながら組織の成長や従業員のモチベーションの尺度として定義するなど、評価の一部として利用したことがあります。ご存じの方も多いと思いますが、顧客満足度と従業員満足度は、CSとESと呼ばれています。CSとは、Customer Satisfactionの略で「顧客満足度」、ESとは、Employee Satisfactionの略で「従業員満足度」となります。
私が導入・開発した初期のシステム運用管理システム(サービスマネジメントシステムの前身)の有効性を表す尺度として、このCSとESを定義し、顧客とのコミュニケーション成果や満足度の調査を通じて、定量的・定性的に把握し、その度数を向上させるための改善施策を検討、実施することに注力していました。特に顧客満足度となるCSの向上には、従業員の満足度が影響しており、“ES無くしてCS無し“と言わるほどでした。このことからCSとESの両輪がうまく回ることに専念していましたが、振り返ると、この”満足度”のために実施したことは、プロダクト系の整備、環境の改善など、システム的な対応に留まっていました。これらは”人間の本質的な心の満足”には遠く及ばないものでした。この心の満足を得るために、そして、社会との共生による幸福度を高めるためには、さらなる進化のためのアプローチが必要となりました。
3.そしてエンゲージメントへ
それがエンゲージメント(Engagement)です。私の手元にある辞書で引くと「契約」とか「約束」、「誓約」などを意味する言葉が出てきます。さらに、組織に対する「強い愛着」であるとか、「深い思い入れ」などの意味でも使われています。つまり企業内におけるエンゲージメントとは、企業と従業員との間における確固たる信頼関係を意味することになります。
テーマである幸福度を向上させるサービスマネジメントは、私たちの提供する保険ビジネスのためのITサービスを、顧客や利用者の皆様に間断なく安定的に提供していく使命を有しています。この使命を全うするためには、従業員満足度を超える組織に対する強い愛着や深い思い入れが必要です。「この会社に勤めていてよかった。」その組織の一員で幸せだと思える瞬間こそが高いレベルのエンゲージメントと言えるのです。これは、その組織内においてメンバー同士の会話でどのような発言をしたとしても、相互の関係が壊れたりすることはなく、安心して自分の意見や考えを述べられるような状態となります。これは心理的安全性(Psychological Safety)と言い、自分の意見や気持ちを安心して表現できる状態が確保されていて、いつでも相互に安心できる信頼関係の上に成り立つ共通の思いです。
このように幸福度の向上を実現するサービスマネジメントによる活動は、満足度の向上に留まらずに自発的な貢献意欲が高まることにより、自らの能力を発揮しながら、その役割を能動的に果たしていくことにつながります。
顧客の満足度や従業員の満足度の達成がGOALではなく、自らの能動的な活動により成果を収め、その成果が「企業価値を高めることに繋がり、社会に貢献していること」を自分自身が感じ続けられることが大切です。
自らの存在価値を明確にしながら人間本来の欲求に応えていくことを気づかせてくれる「サービスマネジメント」は、魅力ある国際標準規格なのです。
次回は、このサービスマネジメントの求める幸福度に関与する「社会との共生」の在り方、“企業や組織、そして私たち一人ひとりの存在意義=パーパス“ について、皆さんと一緒に認識を深めてまいりたいと考えています。
おたのしみに。
文/ITSMスペシャリティ認定者(Master)